アジャイル開発事例セミナー(2018.12.10)開催報告

 2018年12月10日、ジャパンシステム株式会社代々木本社にて「アジャイル開発事例セミナー」が開催されました。これは、当協議会のアジャイル開発部会(主査:中原俊政(東京情報大学非常勤講師))が、アジャイル開発の事例を通じて、皆様方に、アジャイル開発におけるモデリング適用の効果についてご理解を深めていただくこと、また、部会活動として、「アジャイル開発でのUML適用ガイドライン」のエンハンスに役立てることを目的として開催したものです。

 最初はNECソリューションイノベータ株式会社 三宅 篤 様から「顧客の事業課題をモデリング×共創×アジャイルで解決」と題して講演していただきました。講演では、お客様の事業課題である「サービス料金の回収率を上げたい」をどのように解決したかの説明がありました。最初、サービス利用から課金・売上・請求・入金状況を見える化したが、本質的な課題「未回収を減らしたい」は解決しませんでした。対策としてステークホルダ間の認識合わせのため、クラス図、パッケージ図、ステートチャート図を使ってサービスのライフサイクル全体をモデル化することで、各業務の課題を洗い出し、顧客経営層も含めた「共創」場を作り、アジャイルで回すことで解決したとのことでした。モデリング、共創、アジャイルの3つが有効でした。

 2番目はNECソリューションイノベータ株式会社 佐々木 進哉 様から「アジャイル+DevOps+UMLの融合」と題して講演していただきました。講演では、ISPシステム開発で、「メンバー全員同じバスに乗る=メンバー全員が同じ目的を持ち、生産性を上げる」というテーマを元に、どのように実践したかの説明がありました。アプリ開発とインフラ構築チームの認識齟齬をなくすために、インフラ構築チームへの指示書にシーケンス図、状態遷移図など動的な情報を記載しました。アプリ開発内部では、完了や評価の定義、規則を統一するために開発ルールや評価開始ルールをクラス図やアクティビティ図で明確にしました。さらに、体制表をクラス図で記載することで顧客との認識を合わせました。UMLは開発以外でも有効であることがよくわかりました。

アジャイル開発事例セミナー2018
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 3番目は、株式会社セブン銀行 岡部 純 様から「事業会社が始めたアジャイル開発の1年半」と題して講演していただきました。講演では、新ビジネス、新サービスのリリーススピードの向上、仮説検証のサイクルを高速に回すことを目的でアジャイル開発を導入し、体制を整備して実践した結果の説明がありました。アジャイル開発の結果、開発しなかったPBI(Product Backlog Item)が多くあったとのことです。言い換えれば、無駄な開発をしなかったことです。また、社内PoC案件の開発にシーケンス図を適用して効果があったとの話もありました。

アジャイル開発セミナー2018
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 最後に、3人の講師に対して質疑応答を行いました。質問は、アジャイル開発での顧客との契約の内容、リリース前の品質の確保、ドキュメント作成など、アジャイル導入で検討すべき内容が多く、参加者にとっては、講師から貴重な話を聞くことができました。

アンケートでは、「具体例が聞けてとても参考になりました。参加してよかったです」「課題を全員が把握できる状態がいかに大切かが分かった」など課題解決におけるアジャイルとUMLの有効性について多くの声を頂戴しました。ありがとうございました。今回ご参加できなかった皆様、次の機会には、是非ご参加いただき、生の声をご参考にしてください。

前半2つの講演資料は下記にて閲覧できます。

 UMTPでは今後も情報モデリング及びソフトウェアモデリングに関する技術解
説や最新情報のご提供を通じて、我が国のモデリング技術の普及とモデル共有
に向けた活動を展開してまいります。今後とも引き続きよろしくお願いいたし
ます。
 皆様の益々のご活躍お祈り申し上げます。

2019年2月