1.MBT(モデルベース思考)とは何か?
MBTとは、オブジェクト指向をベースとしたソフトウエア開発の分析、設計技術を応用して、それを一般化汎用化した思考法、発想法です。
ソフトウエア開発の上流工程では、与えられた課題に対してそれを整理し、分析する能力が必要です。この能力は当該技術分野だけでなく、一般に<モノ・コト>を考える場合に共通する能力です。MBTはこのような能力を育てる思考法であり分析方法です。
モデルベースのモデルとは、<モノ・コト>を整理し、抽象化することです。
MBTではこのモデルを作る能力(モデリング脳力)を高めることで、いろいろな分野での思考力を高めることができます。
下図はMBTのイメージ図です。
虫メガネがMBTで、複雑な現象、モノコトをこのMBTという虫メガネをかざすと、シンプルな構造図が見えてくるというものです。
一般社団法人 モデルベース思考研究所 <http://mbt-ri.org/>
2.どんな時に用いる?
ビジネス・技術人材に必要な能力について、経営学者カッツの理論が有名です。
彼は人材能力を3つに分けています。テクニカル、ヒューマン、コンセプチュアルの3つのスキルです。
ここで<コンセプチュアル(概念化スキル)>は高度な人材が持つべき能力でです。
これは概念化、抽象化能力とも呼ばれるもので、起きている状況、モノゴトをシンプルに構造的に捉え、問題の本質を見極める力のことです。
この能力はコンサルタント、技術者、企画担当者、経営者などが意思決定、分析、設計を行う現場で用いるものです。
また、一方企業の新人、高校、大学生が深く考えるための基本能力、リテラシーとしても今後重要になります。
3.習得するとどうなる?
MBTを習得すると、
- 課題に対して分析的、構造的に深く考える習慣が身につく。
- 同じ課題でも多視点で見ることで、多様な考え方ができる。
- 抽象化能力ができることで、モノコトをシンプルに表現できる。
- シンプルに表現できることで、プレゼンテーション能力が高まる。
- 自分の専門分野でない課題に対しても、合理的に考え、議論できる。
などなど、今後社会が必要とする汎用基礎思考能力を高めることができる。
4.たとえば?(具体例として)
- AirB&B、Uberといった最近のネットビジネスのモデル化を行い、その構造を理解し、新たなビジネスモデルを企画する。
- ビッグデータからMBTを用いて、キーとなる要素を取り出しその関係性を明確にすることで今まで気が付かなかった構造を見つけ新たな戦略をたてる。
- ビジネス文章作成のとき、MBTを用いて述べたい内容を構造化し、簡略な文章を作る。
- 研修医の教育で、患者と医師との関係をモデル化して何がコミュニケーションで重要かを理解させる。
等々、年齢、職種 分野に関係なくあらゆる場で思考のサポートツールとなる。
5.MBTを学ぶには?
MBTを身につけるにはワークショップに主体的に参加することが重要です。
ここでは自分の意見を述べ、また他の人の意見を聞き、理解した上で、MBTの考え方を応用してモノコトを構造化、モデル化していきます。
またケーススタディとしての練習問題を経験することで、より実務的な能力が養われます。
MBTはここ4年間で見ると、講演、ワークショップに1200名以上が参加しています。
アンケート結果によれば、参加者の80%以上が<非常に良かった>など高い評価を得ています。
ワークショップの内容は基本以下の通りです。
- MBTについて、概要など
- モデルの定義、その例
- 表示ルールとモデル作り方の基本
- 簡単な例題 構造化とは?を学ぶ
- 現実の課題例
- グループで演習。発表、批評
- 学んだことのまとめ