モデリングツールElapiz BEオフショア開発でのUML適用事例インタビュー報告

概要
モデリングツールElapiz BEのバージョンアップをオフショア開発で行っている。オフショア開発は、V1.0が2004年12月にスタートし、現在も継続中である。オフショア先は、中国上海である。現在は、V2.1であるが、インタビュイーが関係したのは、V1.8(2008年5月)までであるため、その間の開発についてインタビューした。V1.0~V1.1時点では、日本側は4~6人、上海側が11人であったが、段階的に技術移転を行い、V1.8時点では、日本側2人、上海側が14人になり、日本側の人員を削減できた。オフショア開発では、UMLを最初のバージョンから、「オフショア開発向けUML適用ガイドライン」(以下ガイドラインと略す)は途中のバージョンから導入した。主に利用したUML図は、クラス図、シーケンス図、アクティビティ図であり、ユースケース図、コラボレーション図、ステートチャート図、コンポーネント図は必要に応じて利用した。 UML適用時の工夫点と効果は以下の通りである。


工夫点
●クラス図/シーケンス図
・委託初期はクラス図を日本側で作成した。主なシーケンス図を上海側で作成してもらい日本側でレビューした。
・委託中期以降は、クラス図も上海側で作成し、日本側でレビューした。
●アクティビティ図
・作業範囲を明確にするために利用した。


効果
●UMLで仕様を記載することにより、何を開発すべきかの理解度が格段に高まった。
●オフショア先が作成したUML図をレビューすれば、オフショア先の理解度、スキルがわかった。


成功へのポイント
●定期的(1年もしくは半年ごと)にガイドラインの各ポイントの適用状況をチェックすることで、プロジェクトのその時々の弱点が浮き彫りになり改善に生かすことができる。
●UMLをオフショア開発で利用するのであれば、委託範囲は実装・単体テストに限定せず上流(分析・設計フェーズ)にも参画してもらう方が品質・費用の両面から効果が高い。
●オフショア委託先に上流から参画してもらう場合、分析フェーズを任せる前にキーとなるエンジニアにUMLの集合教育を行なった方がよい。