第1回UMTPモデリング技術セミナーとワークショップ実施報告

第1回UMTPモデリング技術セミナーは、「UMLモデリングの本質」や「UMLモデリング入門」など多くの著訳書を持つ、エクサの児玉公信氏を迎え、モデリングの本質と課題について講演していただきました。セミナーへの参加者は57名で、半数以上は現在UMLを使った開発案件に取り組んでいるモデリング技術の実践者の方々でした。

セミナーでは、特に「システムアプローチ」「システム思考」の考え方を強調されていた点が印象的でした。「問題はシステムの弱いところに現れているだけであって、原因がそこにあるわけではない」、こう話す講師の言葉には、
・システムは、その構成要素同士が相互作用して、全体が部分の合計以上の機能を発揮するもの。
・現状(As-Is)システムを徹底的に分析して、階層分解した構成要素から不具合が起こった原因を除去しても、問題は解決されない。
という重要なメッセージを含んでいます。
また、ではどうすれば良いか、ということでは、単にUMLでモデルを表現すればよいのではなく、
「システム思考」、「もの・こと分析」「業務フロー図」「データフロー図」などの有効な活用についても紹介していただきました。

しばしの休憩を挟んでセミナーに続て行われたワークショップでも、講師とモデリング技術部会のメンバと
活発な議論が行われ、これから「モデリング」を考えていく上での対象の見方や「モデリング」そのものの考え方について、
示唆に富む多くのヒントをいただきました。

第1回目の企画は、セミナーに参加した聴講者にも、またその後引き続き議論
に参加したモデリング技術部会のメンバにとっても、大変有意義なものとなりました。
講師の児玉様、そしてセミナーを盛り上げてくれた参加者の皆様、どうもありがとうございました。

 

第1回UMTPモデリング技術セミナー「−モデリングの心理学とシステム思考−」実施報告

 

日時: 2008年7月14日(月) 13:30〜15:00
場所: オージス総研 東京オフィス 8F Georgia
講師: 株式会社エクサ 技術推進部門 児玉公信 氏
参加者: 57名
概要: 人はなぜモデルを作るのか,何を認識しているのか,何を取って何を捨てるのか,
そこから見えてくる意味とは何か..。こう考えたとき,モデリリングの本質が見えてくるように思います。
一方,対象を理解しようとするとき,その認識主体を仮定します。
そのとき,どこまでを対象全体と見るかで構成要素の大きく意味が変わります。
全体の意味をあらためて問い直してみます。
この問いをきっかけとして,私が日頃感じているモデリング技術の課題について述べます。
資料: 「モデリングの心理学とシステム思考」 (24slides pdf形式 240KB)

第1回モデリング技術セミナーの様子

 

第1回UMTPモデリング技術ワークショップ実施報告

日時: 2008年7月14日(月) 15:10〜18:30
場所: オージス総研 東京オフィス 8F Georgia
座長: 株式会社豆蔵 会長 羽生田栄一 氏
参加者: 12名、
児玉公信氏(エクサ)、
河合昭男氏(オブジェクトデザイン研究所)、
竹政昭利氏(オージス総研)、
照井康真氏(テクノロジックアート)、
中原俊政氏(バブ日立ソフト)、
羽生田栄一氏(豆蔵)、
藤井 拓氏(オージス総研)、
水戸一幸氏(日本ユニシス)、
山下智也氏(テクノロジックアート)、
山城明宏氏(東芝ソリューション)、
吉田裕之氏(富士通)、
越智典子氏(技術翻訳)
概要: ・ワークショップの趣旨と講師の自己紹介
・講演内容についての質疑
・ワークショップの本来の目的へ
・講師の考える「現状のモデリング技術の問題点」
・モデリングの中でのパターン
・情報システムとソフトウェアの関係
・要求と分析と設計の関係
・さまざまな技術とモデリングの関係
・新しい技術トレンド
・モデリングを普及させるための教育
・UMTP 認定試験
・今後のモデリング
・モデラーを目指す若いメンバーへ
・参考文献
資料: 議論詳細(第1回UMTPモデリング技術ワークショップ誌上公開のページにリンク)

第1回モデリング技術セミナーの様子

ワークショップの終了後、講師を囲んで撮ったスナップショットです。
第1回モデリング技術ワークショップ

向かって左から順番に、
越智、河合、山城、照井、竹政、羽生田、水戸、吉田、児玉、中原、山下、藤井。(敬称略)