概要
日本側で、要件定義~詳細設計と結合テスト以降を担当し、オフショア先に製造工程(単体テストを含む)を依頼した。開発は、以下の方針で行った。
(1)Rational Toolや社内アセット(フレームワークや成果物)利用を前提としたモデルベース開発を実施し、開発工数の削減と品質の向上を実現する。
(2)製造工程の約97%をオフショア先に依頼すると共に、Rational Toolを用いた社内標準のプロジェクト管理手法を適用して、管理やコミュニケーションを効率よく実施する。
(3)各作業においては当プロジェクトの成功だけでなく、横展開可能なKnowledgeの抽出と蓄積に重点を置いて成果の最適化を実施する。※オフショアではあるが、アイ・ビー・エム・グループ内の依頼先であるため、統一された社内ツールや手法がそのまま利用できる。
UML適用時の工夫点と効果は以下の通りである。
工夫点
●クラス図・シーケンス図の作成方法や作成基準は事前に定義し、各設計書間で担当者に依存する記述レベル差異が生じないようにした。
●シーケンス図だけでは仕様伝達が難しかったため、メソッド記述書(メソッド毎の処理機能記述書)を別途定義して作成した。メソッド記述書は、I/P/O記述形式の定型フォーマットを作成し、各メソッドの入力と出力、処理内容を明確にした。
効果
●UMLを前提に開発ツール(Rational Tool)を使用したことで、定義・設計の生産性が向上した。
●シーケンス図に加え、メソッド記述書も定義して作成することで、,メソッドでの処理内容が正確に伝わった。
成功へのポイント
●Rationalのツール、社内のアセットを有効活用し、製造工程での実装範囲が明確になるように、日本側できちんとアーキテクチャを設計した。
●オフショア先に開発を依頼する際の進捗、Q&A管理等の管理作業の懸案事項をプロジェクト開始前に洗い出し、ツールを使用して事前に対策した。
●UMLを使う上で、図だけでは足りない部分の記述書を追加したり、ユースケース記述書のレベルも細かく指定した。