概要
生化学検査機器ソフトウェアの再構築をオフショア開発で行った。要件定義・基本設計・詳細設計は、発注者(日本企業)が担当し、製造と結合テストを受注したNEUSOFTが担当した。NEUSOFT日本が製造と結合テストまでのプロジェクトの管理をブリッジSEとして担当し、NEUSOFT中国が、製造と結合テスト工程を担当した。プロジェクトは、2007年4月に始まり、2009年5月に終了した。NEUSOFT日本の工数は、40人月であり、NEUSOFT中国の工数は、260人月であった。本プロジェクトでは、要求仕様の把握と設計仕様を正確に伝えるため、UMLを活用した。利用したUML図は、要件定義工程で、ユースケース図、基本設計・詳細設計工程で、クラス図とシーケンス図である。
UML適用時の工夫点と効果は以下の通りである。
工夫点
●発注者が代表的な処理について詳細なシーケンス図を作成してくれたので、その処理の実装だけでなく、類似処理も、そのシーケンス図を応用して実装した。
●テスト工程で発生した不良の修正内容は、UMLを修正して発注側に送付し、発注側との情報共有を図った。
効果
●UMLを使用することで、発注者の設計の意図やロジックがきちんと中国側に伝わった。その結果、質問の回数を削減できた。
●日本語の長い文章であれば、中国語への翻訳が必要であるが、UMLは短い文なので、翻訳なしで理解できた。
成功へのポイント
●仕様の提示、ロジックの追加/修正確認を、UMLで行うことにより、お互いに確実に伝えることができ、仕様確認の回数を削減できる。
●ブリッジSEは、通訳や翻訳よりも、全体の仕様の把握・チェックやスケジュール管理が重要である。