Modeling Forum 2011 開催報告

Modeling Forum 2011

Modeling Forum 2011 開催報告
 2011年10月19日、「Modeling Forum 2011」が開催されました。今年はWebでのOn demand配信に加え、秋葉原UDX Galaxyセミナー会場にも多くの方にご来場いただき、講演に熱心に耳を傾けていただきました。

基調講演会場 大会委員長挨拶 UMTP会長挨拶
 今年度は、「日本再生のためのモデリング—これからの社会の見える化と創造にむけて」をテーマに基調講演では、3.11の東日本大震災を乗り越えるべく情報システムの在り方や災害対策でのITの役割について講演いただきました。また、午後の各セッションでは、最新技術や、UMLモデリングについての最新情報をご紹介いただきました。
基調講演1 基調講演2
 基調講演1では、俯瞰工学研究所代表で東京大学名誉教授の松島克守様より「3.11を踏まえた製造業の情報システム戦略」と題しご講演いただきました。
 3.11の災害を受け、サプライチェーンの脆弱性を露呈した生産システムのモデルの新生と進化のための見える化による分析・管理の手法と、調達システムのあるべき姿を事例により分かり易くご紹介いただきました。
 参加者からは、「非常に分かり易く共感できるところが多かった」、「「社会を分かる。感じる」という考え方が印象的だった。顧客志向での価値創造の考え方を見直す必要があると思った。」など共感の声を多数頂きました。
 基調講演2では、日本アイ・ビー・エム株式会社 GBS事業CTOの榊原彰様より、「災害を念頭においたITアーキテクチャー〜Project ICHIGANの活動を通して〜」と題しご講演いただきました。
 大震災での教訓を基に、広域大災害などの危機的状況においても迅速かつ円滑に自治体業務が再開できるように、災害対策、業務継続性を考慮したITシステムの実現の為の非営利プロジェクトである「Project ICHIGAN」が結成され、現在プロジェクトでご活躍中の榊原様からドラフト版の参照モデルを通じて、災害を考慮したITアーキテクチャーを分かりやすくご紹介いただきました。
 参加者からは「志がすばらしい」「活動頑張ってください」という励ましの言葉や「想定外な事から学んだいい事例だと思った。活動は自治体ITシステムに閉じているが、考え方や進め方は様々な分野に応用できる内容でした」とのお言葉を頂戴しました。
 午後からは2会場で計8セッションが開催されました。各セッションとも講演者の熱い思いが伝わり、参加者からの積極的な質疑もあり、あっという間に4時間が経過しました。
A-1 B-1
A-1「モデ脳になろう! 〜本質を見抜くモデリング〜」
 東京大学モデリング研究会の吉田塁様よりご講演いただきました。
 UMTPで企画開発中のモデ脳(=モデリングできる能・能力)を親しみやすい題材を基に紹介いただき、皆様にモデリングの面白さに直に触れていただきました。身近にいる現役の学生で、しかも、分かり易くモデ脳を紹介いただいたことで理解が進んだことが、皆様の声からも窺われます。
 「モデリングは物事を一般化し、本質を表す技法だと理解できました。センスも含めてモデ脳は必要なスキルだと思った」、「システム管理部門に居ます。部内での教育にモデ脳を入口としてUMLを取り入れ要求定義等を正しく作成できる人材を育てようと思います」
B-1「日本におけるビジネスインフラの整備」
 次世代EDI推進協議会 事務局長 菅又久直様よりご講演いただきました。
 「健全性」「国際性」等を満たす業界標準EDIの推進、整備が進められている日本のビジネスインフラの整備で、サプライチェーンにおける情報連携や、東日本大震災を念頭に災害等のリスクに強い柔軟性に富んだ仕組みづくりを新たな課題として検討を開始したとしてご講演いただきました。
 「最近の状況、課題が理解できた」「業界横断の標準がどの程度普及していくものか注視していきたい」とのご意見を頂戴しました。
A-2 B-2
A-2「RESTful、ROA(リソース指向アーキテクチャー)の思想と活用」
 日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 クラウド・エバンジェリスト 米持寿幸様よりご講演いただきました。
 様々なクラウドサービス等でRESTfulサービスが公開されるようになってきた現状を踏まえ、正統なRESTfulサービスとしてリソースを中心としたデザインパターンの基本と、インタフェースとはどういうものなのかを事例を交えご紹介戴き、RPCやSOAとの違い、設計上の注意点など解説いただきました。
 RESTfulについて良く理解されてない方の参加も多く「RESTfulの定義が理解できて良かった。関連書籍等で理解を深め、活用に向けて準備をしたいと思う」など講演をきっかけとして新たなチャレンジを決意する声も頂戴しました。
B-2「組込み向けUMLモデルカタログ シーズン2 予告編
      〜新しいカテゴリの登場」

 株式会社エクスモーション 常務取締役 芳村美紀様よりご講演いただきました。
 芳村様はUMTPモデリング部会の副主査でもあり、部会活動のご紹介とUMTPにてリリースした「組込み向けUMLモデルカタログ」バージョンアップ版に掲載予定のモデルを紹介いただきました。
 参加者からは、「組込みUMLモデリングスキルアップに貢献する素晴らしい活動であると感じた」との活動に対する称賛と、「カタログの中のモデル数が有効か、多くなった場合の共通化、応用利用も考えて品揃えしていってほしい」とのご要望も頂戴しました。
A-3 B-3
A-3「複雑化するAndroidアプリに対する設計の重要性」
 株式会社豆蔵 チーフコンサルタント 岡田真一様よりご講演いただきました。
 Androidのビジネスアプリケーションへの活用が本格化してきた今日、機能拡張、OSバージョンアップ、対応プラットフォームの拡大など、アプリケーションも複雑化する一方です。そこで基本に立ち返り設計の重要性にスポットを当てご講演いただきました。
 参加者からは、「現状のAndroid開発に触れることができて良かった」、「Androidの開発する際に参考になりそうです」との声を頂くと共に、「もっとAndroidに特化した内容にも触れてほしかった」とのご要望も頂戴しました。
B-3「中国UMLコンテストのトップ3から学ぼう」
 日本電気株式会社 ITソフトウェア生産技術・品質保証本部本部長 岸上信彦様よりご講演いただきました。
 昨年開催された「中国UMLコンテスト」の入賞3件についてのご紹介とモデリングの実際をご紹介いただき、改めて中国でのモデリングに対する情熱と潜在的なモデリング能力の高さを窺い知ることができました。
 参加者からは「早く、日本と中国のエンジニアがモデルで会話できるようにと思っています」、「私は要求側に立つことが多いのでコンテストのモデルを分析していく過程が非常に学ぶべき点が多く、モデリングの際に気をつけなければと思いました。大変参考になりました。」との声を頂戴しました。
A-4 B-4
A-4「分散システムのモデリング(Enterprise Hadoopから考える)」
 株式会社 ノーチラス・テクノロジー代表取締役社長 最首英裕様よりご講演いただきました。
 基幹システムへの適用が急速に進みつつあるHadoop。その効果とビジネスに与えるインパクトなどに触れ、実例を交えご紹介いただきました。
 Hadoopをご存じでない方からは「知らない知識が得られた。大変参考になる」、「分散処理の実適用事例、処理能力向上の実例が分かって良かった」また、「メニィコア時代に突入する組込み系でも有効な技術」としてのご意見も頂戴しました。
B-4「機能規模測定手法COSMIC法 〜モデルでソフトウェアの大きさを測ろう〜」
 株式会社 オージス総研 技術部アジャイル開発センター 木村めぐみ様よりご講演いただきました。
 機能規模測定手法COSMIC法で測定する際にデータ移動モデルをUMLで表現し測定の根拠を分かり易くすることで取り組み、その成果を実例を基にご紹介いただきました。
 「単位機能ごとに工数を計測するという考えは新鮮だった。大規模開発の中間レポートは衆知する事でベースを定める事もできるように思えた」とのご意見、「ソフトウェアの規模測定方法としては有効であると思う。今後見積との関連につき引き続き分析してほしい」とのご要望を頂戴しました。
 以上各セッションについてご紹介いたしました。

 当日は、お忙しい中、会場に足を運んでいただきました多くの皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました。
 なお、会場案内の不手際もあり皆様にご迷惑をお掛けしましたこと深くお詫びいたします。
 また、今回の「Modeling Forum 2011」はWeb上でON Dmand 配信を実施いたしております。下記に必要事項を登録の上、ぜひご覧ください。

http://www.umtp-movie.com/registration/m2011.php

 UMTPでは今後も情報モデリング及びソフトウェアモデリングに関する技術解説や最新情報のご提供を通じて、我が国のモデリング技術の普及とモデル共有に向けた活動を展開してまいります。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。

 皆様の益々のご活躍お祈り申し上げます。

∞∞ お問い合わせ ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
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